SDGs 投資の基礎知識

ESG投資とSDGsの関係【資産運用の基礎知識】

2020年1月5日

投資を始めるといろいろな専門用語に出会うことになります。


なかでも近年よく耳にするようになった言葉に「ESG投資」「SDGs(エスディージーズ)」というものがあります。


この2つはどういった用語なのか。英語の略ですし、なかなか理解しづらいと思います。


そこで本記事では「ESG投資」と「SDGs(エスディージーズ)」についてどのような意味で、投資にどう影響をするのかを解説させていただきます。

ESG投資の意味

まずはESG投資の意味を解説させていただきます。

ESG投資とは

環境(Environment)、社会(Society)、ガバナンス(Governance)のそれぞれの頭文字をとった用語です。


それぞれ企業が持続的に成長をしていく上で重視すべき項目であり、その点を考慮した投資のことを「ESG投資」と言います。

ESG投資が重視されるようになった理由

ESG投資が重視されるようになった背景には、世界的に環境問題への意識が高まっているということが理由としてあげられます。


企業はただ利益を上げるだけでなく、社会に対して利益以外での貢献が求められるようになっています。


また、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が国連の責任投資原則に署名をしたことで投資家の間でも重要視されるようになっています。


ESGへの取り組みはGPIFのHPで詳しく確認できます。

SDGs(エスディージーズ)の意味

SDGsとは

「Sustainable Development Goals」の頭文字をとった用語で、国連が定めた2016年から2030年までに世界が達成するべき「持続可能な開発目標」のことです。


2015年に国連に加盟する193カ国すべてが合意して採択したもので、2030年までに「貧困や飢餓の撲滅」、「気候変動への対策」など国際社会に共通する17の目標と169の小項目で構成されています。

SDGsが重視されるようになった理由

もともと「MDGs(Millennium Development Goals)」という2000年に採択された目標が前身として存在していましたが、こちらは各国の政府単位の目標という意味合いが強いものでした。


これをより持続的に幅広く解決していくために、ビジネスをとおして問題解決をする仕組みとしたものが「SDGs」です。


国内でも推進本部を設置し、民間企業単位での目標として参加を促進しています。

ESG投資とSDGsの関係

ESG投資は投資家にとって世界的社会問題がもたらした投資機会と言えます。


他方、SDGsは企業にとって世界的社会問題がもたらしたビジネスチャンスと捉えられています。


しかし、ESG投資には具体的にどういった部分が課題で、何をもって達成かという基準がないため、投資家にとって判断基準がないという課題があります。


そのため、企業のSDGsへの取り組みを評価の指標とすることで、企業は持続的な企業価値の向上を目指し、投資家は中長期的なリターンを期待できるということです。

SDG Compassの活用

では企業はどのようにSDGsを達成していくのか、そこで利用できるのが「SDG Compass」です。

SDG Compassとは

SDG Compassとは、GRI(グローバル・レポーティング・イニシアティブ)と国連グローバル・コンパクトが作成している企業のSDGsに対する行動指針のことです。


企業がSDGsと経営を統合する際に利用するツールとして提供をされています。

SDG Compassの5ステップ

  • ステップ1:SDGsを理解する
  • ステップ2:優先課題を決定する
  • ステップ3:目標を設定する
  • ステップ4:経営へ統合する
  • ステップ5:報告とコミュニケーションを行う

投資家は、企業がこの5つのステップをどこまで進めているかと、その企業の強みに注目をして、企業価値や社会問題が将来的にどの程度期待できるかをESG投資の際に参考とすることができます。

ESG投資とSDGsの課題

ESG投資とSDGsにはいくつかの課題も存在します。

取り組んでいる企業が少ない

SDGsに貢献することは、企業にとって大きなメリットがあります。


しかし、GCNJ(グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン)のレポートによると、組織への認知度や取り組みはまだ浸透しているとは言えません


ここ数年で徐々に浸透しているとはいえ、会社全体に重要度を浸透させるには時間がかかりそうな印象です。
※アンケートはGCNJ会員向けの実態調査であり加入している大手企業が中心です。

SDGsの社内認知度アンケート

  2015年 2016年 2017年 2018年
主にCSR担当に定着している 61%  84%  86%  84%
経営陣に定着している 20%  28%  36%  59%
中間管理職に定着している 4%  5%  9%  18%
従業員にも定着している 8%  17%
関連会社などステー クホルダーにも定着している 3%  2%  4%
わからない 15%  12%  7%  3%


また、SDG Compassの進捗度は会員向け(SDGsの意識が高い大手企業が中心)の調査にも関わらず、ステップ3まで進んでいるのが全体の1割程度と取り組みが進んでいないというのが現状です。

SDG Compassでの進捗度

  2016年 2017年  2018年
ステップ1 「SDGsを理解する」  54%  43%   31%
ステップ2 「優先課題を決定する」  22%  28%  28%
ステップ3 「目標を設定する」   11%  13%  17%
ステップ4 「経営へ統合する」  9%  8%  12%
ステップ5 「報告とコミュニケーションを行う」  4%  8%  12%


既存事業と結びつけた報告

ほとんどの企業で既存の事業をSDGsのいずれかの指標に結びつけることは容易にできます。


ただし、既存事業と目標を結びつけて報告をしているだけという事例も多くあり、これでは本来のSDGsの役割を果たしているとはいえません。


ESG投資においては、そういった点も問題視をされています。


投資家目線では、企業が実際にどういった活動をしているかをしっかりと見極める必要があります。

まとめ

以上のように「ESG投資」と「SDGs」はビジネスにおいても投資家にとっても重要な用語といえます。

ポイントまとめ

  1. ESG投資とは企業が持続的に成長をしていく上で重視すべき指標を考慮した投資
  2. SDGsとは世界が達成するべき「持続可能な開発目標」
  3. ESG投資をする際には企業のSDGsへの取り組みを参考とする


特に国内においてはまだまだ課題のある取り組みですが、投資家にとっては投資機会が作られた状況とも言えますので、こういった取り組みはしっかりと頭に入れておく必要があるでしょう。

本日は以上です。
ありがとうございました。

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