不動産について

【2019年】芳しくない不動産市況と少し希望が見えたこれからについて

2019年12月9日

2019年ももうすぐ終わり。ということでタイトルにもあるように、今回は不動産業界に携わる者からみた「現在の不動産市況とこれからについて」まとめておきたいと思います。

結論から言うと、市況は良くないけど、ライフスタイルや価値観の変化が起きていて、少しずつ面白い市場になりつつあります。

新築住宅について

新築のマンションや戸建については、価格の高騰が続き一般の層では購入を検討もできないレベルになってきています。不動産経済研究所の調査によると、首都圏のマンション平均価格は一時6,000万円を突破するなどバブル期に匹敵する高騰をみせています。

ただし、バブル期とは違い爆発的な好景気とは言えない現状では、なかなか契約に繋がらず、需要と供給のバランスが取れていないことになりマンションの在庫が増えるという状況になっています。新築の不動産は完成から1年を経過すると新築とは言えなくなってしまうため、必然的に価格も下げざるを得ないということになります。

そこで不動産各社は供給を控えて在庫の圧縮を図りますが、それでも契約率が良くなるということにはなっていません。前述の通り価格が下がってこないからです。需要が供給を上回る中で、なぜ価格が下がらないかというと「建設費」の高騰という問題があります。

つまり、いくら需要と供給のバランスによる価格の調整を期待しても、原価が高すぎると一定以上に価格を下げることができないのです。

建設費の高騰には様々な背景がありますが、一番はオリンピックを控え、会場、ホテル、商業施設など様々な不動産施設が新しく建設されているからです。住宅だけでなく、これらの施設にも人員を割かなければいけなくなることにより、人手不足は深刻になり、建設費が高騰をするのです。

また、こう言った状況になると不動産各社は無理をして供給を増やすことはせず、最も求められる都心の一等地や駅近立地などの条件が良いところが見つかった場合だけ発売をするという考えになってきます。

そのため現在は供給が少なくなっているのです。この展開が続く限り価格の高騰は止まらず、平均的な所得では新築を購入するという選択肢にはなれないということになります。

中古住宅について

では、平均的な所得の人は家を買えないのか。というとそんなことはありません。現在新築よりも売れ行きが良いのが、中古住宅です。特にマンションはここ数年、新築マンションの供給数よりも中古マンションの成約数の方が上回っています。

中古マンションも含め、全体的な価格は上がっているとはいえ、新築と比較するとある程度安く購入することができるというのが1番な理由でしょう。

また、最近は政府もフローからストックへと推進しているように、すでに住んでいる家をリフォーム、リノベーションをして自分だけのこだわりの家にして住うことも少しずつ認知をされています。

そう言った価値観の変化を考えると、これまでの画一的な造りで、同じような家しかないという市場から脱却をして、これからの不動産市場は住み方や生き方に対する共感を意識していくことが大切だと言えます。

賃貸住宅について

そんな不動産市場の中で、いち早く新しい風が誕生したのが賃貸住宅の市場です。

これまで家はいつかは購入するもので、それまでに仮で住む家が賃貸住宅という考え方が一般的でしたが、ここ最近はずっと賃貸でいいのではないか。家を買う必要があるのか。といういわゆる「賃貸vs分譲」というテーマが語られるようになりました。

このテーマを考える際に重要なのは、どちらがトータルで考えるとお得なのか。ということではなく、どちらが自分の価値観やライフスタイルにあっているかを考えるべきだということです。

費用で考えると多少の違いはあるものの、どちらもお金がかかるのは当たり前で、そこだけを重視するのであれば、例えば「田舎に住む」、「海外に移住する」など、住む場所を考えればいいだけだと思うからです。

ではそんな賃貸市場でどのような変革があったのかというと、「OYO LIFE」「ADDress」など新しいサービスが始まったことです。

サービスや仕組みは別の記事にもありますので割愛しますが、簡単にいうと「OYO LIFE」は今までは手間がかかっていた賃貸住宅の契約や引っ越しの手間を極限まで減らしてくれるサービスで、「ADDress」は住宅業界のサブスクリプションで、定額制で全国の拠点に住むことができる多拠点生活を実現できるサービスです。

これらサービスはまだまだ一般的に知られるようなサービスとまではいきませんが、賃貸市場を活性化させる足がかりとなることは間違いありません。

こういったサービスが何を変えたかというと、今までは家に住もうとした場合、与えられる選択肢が限られていて、とても消費者視点で考えられている市場とは言えなかった賃貸住宅選びに、自分の価値観やライフスタイルを取り入れることができて、住宅選びそのものに個性を与えることが出来るようになった。

つまり、自分らしさを出すことが出来るようになったという点です。

先ほども記載したように住宅を販売する側から考えた際に、これから重要になるのは「住み方や生き方に対する共感」であると考えています。ですのでこういった変化はとても意味があることで、この流れで新築や中古の分譲市場に関しても構造が変わってくれば、もっと多様性のある魅力的な市場になるのではないかと思います。

まとめ

ということで今回は私が考える現在の不動産市況とこれからの展望を記事にしました。特に新築市場はこれからも価格の高騰に悩まされることになるとは思われます。

ただそれでも大規模な開発や大型物件の供給がなくなることはないでしょう。そんな市場でも我々に希望を持たせてくれるのは、リノベーションや賃貸市場で魅力的なサービスを提供してくれる新しい企業だと思います。

一部紹介をしましたが他にもまだITを駆使して革新的なサービスを行うところはあります。

さらにこういった流れが新築や中古の販売にも波及してくれば価格の高騰を押し下げて、選択肢を広げてくれることにもなるでしょう。そうやって不動産業界が良い方向に発展していくことを期待しています。

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本日は以上です。ありがとうございました。

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